振り付けの先へ

人に面と向かって言えない事を抱えていない人はいないと思っています。
これ言ったらヤバい人と思われるんじゃないか、、、なんて思ってとりあえず飲み込む言葉の数々、、、

フラメンコの歌詞にも

1   あんたなんか成功させないよ
2   悔しくて袖口噛み切った
3   夕飯に鱈のスープ作らなかったから夫に殴       られた
4   あんたとあいつが話してるのみたよ
5   女狐に恋人奪われた


などなど、暴露大会みたいな言葉がたくさんあります。私が思うにこれ全部本人のいる前で電撃的に歌っちゃったんじゃないかと思っています。

言葉にできない思いも全部掬い取って表に出せるのが芸術でもあります。特に虐げられた民族の芸術は洗練されてゆく傾向があります。それはどんどん抽象化していかないと逃げ場がなくなってやばいからです。
フラメンコの振り付けが抽象的なのもここに理由がある気がしています。

振り付けをマスターしたその先で、踊り方がわからないと言う人がいます。踊りに言葉は無いのですが、表現したいことがない人はいません。人はみんな些細な喜怒哀楽から堪えきれない思いまで、生の感情に揺れ動きそれに振り回される生き物です。
それが明確なものでなくても不純なものでも何でもかんでも、表に出していきましょう。見た目が無様でも、美しくなくても、不完全で目も当てられなくても、真実ってそういうものかもしれません。そして真実以上に人に伝える価値のあるものが有るでしょうか?

と、いう事で練習に疲れたら今の気持ちをこっそりいうつもりで踊ってみましょう。


西野マユミ フラメンコ教室 CONTIGO

東十条と新八柱(みのり台)でフラメンコ教室を開いています。 講師は都内周辺で活躍する踊り手です。